子猫を拾った話

動物好きの多くが経験しているかもしれません。『小さな猫(犬)が捨てられてる!でもどうしよう・・・』
子供の頃は幾度となく拾って帰り、親に怒られた経験があります。結局大人が知り合いを伝い、新しい飼い主探しに走り回るのです。「もう2度と拾ってくるな」と言われた後、橋の下で見つけたまだ初乳も飲んでいないような子猫に毎日牛乳をあげに行き、当然そのまま死なせてしまったこともありました。


先日、友人のお嬢ちゃんが子猫を拾ってきました。お嬢ちゃんも親に怒られることが分かっていたのか、お家に連れてくる前に相当ウロウロしていたらしい。子猫はすでに脱水症状を起こして生死を彷徨っていました。
私という人間は、普段から特にボランティア精神に溢れた人ではありません。いつまでもなくならない悲しい『里親』という言葉に、率先して行動を起こす人間ではないのです。ただその話を聞いたときなぜか「行かなきゃ」と思ったんです。次の飼い主が見つかるのか?それよりも先に、もうすぐ消えてしまうかもしれない命。自分が行けば助けられるかもしれないと、分かっていながら見殺しにするようなことはあまりにも気分が悪い。・・・それくらいのレベルの感情で動いていたと思います。

友人の所まで行き、一緒に近くの動物病院へ行きました。まず若い医者に「どこまでしますか?」と聞かれました。むこうも商売です。自然にいたら助からなかった命、放っておくのもひとつだとまで言われました。費用を聞く前に入院も無理・と言われてしまい、とりあえずカピカピの目やに鼻水を取り除き、ダニ駆除のスポットを施してもらいました。皮膚は大量のダニでただれ、毛も抜け落ちていました。(↓保護時)

白いネコ

分かっていたけど冷たい世間。そりゃあそうだ。うん。嫌いな考えだけど恨むのは筋違い・と自分を言い聞かせ、ダメもとで Olive & Snowy のかかりつけに聞いてみることに。電話すると受付の人は先生に確認しに行き、なんと「連れてきてください」と言ってくれました。保護した所からは30km以上離れていましたが、贅沢は言ってられない。急いで連れて行きました。
もちろん慈善事業ではないので完全無料とはいかないが、「保護している子猫」ということを十分に加味した価格にしてくれるとのこと。それも本当にありがたかったのですが、看護師さんが「よかったね、絶対幸せになろうね」と子猫に語りかけてくれたことがとても嬉しくて(さっき冷たい獣医にあしらわれたこともこたえてたし)「では、先生がいいと思う治療をしてあげてください」と言ってお任せしました。

やがて子猫たちは点滴を受け続け、日に日に元気を取り戻していきます。
(↓入院3日め)

ネコ
ネコ

治療内容・・・
1/極度の脱水症状を改善する点滴。
2/内臓にいる虫を飲み薬で駆虫。
3/皮膚疥癬をスポット(レボリューション)で。
4/野良猫に多いエイズ・白血病の検査。
↓おかげさまで入院12日後。すっかり綺麗なネコ。命の危険を回避してからは、治療と同時進行で飼ってくれる人を探します。

ネコ

それにしてもやはり、子猫の飼い主を見つけることは容易な事ではありませんでした。それはそうですよね。これから先、10年以上一緒に生活をしなければいけません。 そんなこといきなり相談されても・・と思うでしょう。しかも私の知り合いは犬愛好家がほとんど。ネコのネットワークがありません。猫アレルギーの人も多い!
そうそう・今回初めて知りましたが、『里親詐欺』というのもあるんですね。

そんなこんなで(飼い主が見つからないかも)と感じたこともありましたが、それでも「助けなければよかった」とは微塵も思いませんでした。自己満足かもしれませんが、 2択の選択肢の正しい方を自分は選んで進んでいる・という自信からか、なぜか楽観的だったのです。
そしてようやく・・・「ひきとってもいいかな・・・?」という人が現れました。2匹一緒に!しかもそれは私の身近な人間です。今後も時々成長を見られるという嬉しい特典つき。

保護からちょうど2週間後。ゴミのように放置されていた2つの命は、新しい名前を授かり家ネコに生まれ変わりました。

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今回の件はこうして無事 救助に関わった皆が幸せを感じながら解決することができましたが、もちろん毎回こううまくはいかないと思います。
そう言えば、実家の町内会は町内会費で野良猫の避妊手術をしていたなぁ・・・と、ふと思い出しました。『野良を根絶やしにする』—大いなる地球規模で考えると人間の恐ろしいエゴなんじゃないかとも感じますが、現時点 そして近未来の視点では、それがベストな方法なのだと私も思います。人間主導のこの社会の中で、人間に望まれず生まれた多くの命はこういう境遇にさらされるわけですから。

子供の頃助けられなかった命が、大人になって助けられるようになった。それだけでも喜んでいる自分がいますが一方で、このジレンマは今もあの当時と同じレベルで残り続けています。

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